活動レポート
2022年12月

2022.12.12

令和4年 第9回 定例会 一般質問の報告

12月12日、令和4年第9回定例会で、会派を代表して一般質問を行いました。
今回取り上げました質問項目は、以下の7項目です。

1.市民の利便性に寄与する業務改善について

(1)窓口の休日対応における環境改善について
(2)市民の利便性に寄与するDX推進について

2.自治組織である町内会・自治会の支援強化について


3.子宮頸がん予防について

(1)HPVワクチンの定期接種の通知について
(2)子宮頸がん検診の促進について

4.難聴等による生きづらさを感じる市民の支援について


5.文化芸術基本法に基づく文化振興について


6.法定外公共物(里道・水路)の管理について


7.成年後見制度の更なる利用促進について

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1.市民の利便性に寄与する業務改善について
(1)窓口の休日対応における環境改善について

最初に、市民の利便性に寄与する業務改善についてお伺いいたします。
1つ目は、窓口の休日対応における環境改善です。
本市では、戸籍に関する窓口業務について、休日も対応しています。日曜祝日に入籍したい市民の利便性に資する対応で、今後も続けて欲しいと思いますが、問題点があります。それは、経費削減のためか、窓口があるフロアー全体の空調を切り、照明も一部しかつけていないことです。
春や秋は気温も過ごしやすく問題ありませんが、真夏は非常に暑く、真冬は非常に寒い状況です。
スポットクーラー、ヒーターなどで対応していますが、それでは足りていない所があります。何度か見に行きましたが、夏は職員の方と話をしているだけで、汗がしたたり落ちる、冬は手がかじかんで字が書きづらいといった状況です。
職員の方も、空いている時間は庁舎の外に出て涼んだり、コートを着て寒さをしのいだり、大変ですと訴えていました。
照明も明るさが十分ではなく、書類を記載するには暗いと感じました。
そこでお伺いいたします。

質問:

(1)
区役所の休日窓口について、利用する市民や職員の環境改善のために、適切な空調管理・照明を実施するよう改善が必要だと思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

企画
総務局長
答弁:

1.戸籍の届については、法令により、休日等執務時間外においても受領しなければならないため、夜間は各区役所の警備員が、休日の日中は各区市民課に配置した職員が、各種届を受領しています。
2.こうした休日における各種届の受領は、届出件数が少なく来庁者がいない時間帯が長いため、市民課のフロア全体の冷暖房を運転すると多額の光熱水費がかかることから、議員ご紹介のとおり夏場にはスポットクーラーや扇風機を、冬場には電気ストーブをそれぞれ配置して対応し、また、照明についても、必要な記載台のみに制限しているところです。
3.こうした状況下にあって、昨今は、電気料金等が高騰しており、市有施設を適切に管理運営すべく、多額の補正予算案を提案させていただいています。
4.いずれにしても、休日の来庁される市民や職員等が不快に感じることのないよう、休日の窓口業務は、例えば、効果・効率的に冷暖房や照明を効かすことの出来る小部屋を活用するなど、その執務環境の改善について検討してまいります。

1.市民の利便性に寄与する業務改善について
(2)市民の利便性に寄与するDX推進について

次は、市民の利便性に寄与するDX推進です。
区役所の窓口業務の取扱いで、区により、場合によっては担当者により取扱いが異なることがあります。
私が体験したもので3つ挙げます。
一つ目は、士業が職務上の請求書を使用して住民票等を取得する場合です。専門職本人が従業員に申請書を窓口に提出してもらった後、その従業員に用事が出来たため、専門職本人が受取に行くと従業員本人が来ないと渡さない取扱いをした区がありました。当然、他の区では専門職本人が受取に行っても問題無く渡して貰えます。
二つ目は、委任を受けて固定資産税等の証明の取得をする場合です。委任を受けた者の住所は、専門職の場合、通常は事務所の住所を記載します。依頼者に自宅住所をむやみに知られないようにする為です。しかし、ある区では、委任状の住所には専門職の自宅の住所を記載するよう指導されました。他の区ではその様な指摘を受けていません。
三つ目は、福祉関係の申請における添付書類です。ある区で添付するよう指摘された添付書類の記載方法について、中区で記載方法を聞いたところ、こちらではこのような書類は添付してないので、提出先の区に聞いて欲しいと言われました。
そこでお伺いいたします。

質問:

(2)-①
今の3つの例を含め区役所の窓口業務については、全ての区で同一の処理をすべきだと考えますが、どのようにお考えですか?

企画
総務局長
答弁:

1.窓口業務については、どこの区役所であっても、同じ水準の行政サービスを提供することが基本であり、事務の取扱いは、同一であるべきと認識しています。
2.議員ご紹介の事例については、その内容を確認した上で、制度を所管する全区の課長会議等で取り上げ、速やかに是正するよう努めます。

窓口での定型業務でも、例外がある時に、職員の方が奥に行って調べて事務をする場合、たいてい、長時間待たされます。
窓口で何度かやり取りして、3時間かけてようやく終わった事もありました。
もし、デジタル端末で、業務に関する「よくある質問集」や「執務基準書」などの、いわゆる「FAQ」を調べることができれば、庁内での電話やメールでの問い合わせ件数を削減、市民への窓口対応の向上、サービス時間の短縮が図れます。
そこでお伺いいたします。

質問:

(2)-②
本市でも、FAQの導入が必要だと考えますが、どのようにお考えでしょうか?

質問:

(2)-③
このFAQの導入は、窓口業務のサービスなどの改善にとどまらず、各区での業務の均一化、平準化、さらに担当者の業務の引継の効率化など、非常に有効です。
そこでお伺いいたします。
FAQは本市の業務全般について、それも全庁的に導入すべきであると考えますが、本市の見解はいかがでしょうか?

質問:

(2)-④
ただ、全庁的にFAQを導入すると言っても、仕様の作成、システムの作成、テスト、導入、現場の意見を聞いての改善など、大きなシステムの導入は軌道に乗るまでに時間と費用がかかります。
システム開発の手法に、アジャイル開発というものがあります。
例えば、中区の住民票・戸籍の窓口業務など小規模に限定して先行導入し、その後、現場の職員の意見を取り入れて、利用しやすく改善、最終仕様を確定した上で本格導入する、というものです。ちなみに、当初は市販のデータベースソフトウエアを利用して作成するとさらにコスト削減できます。
そこでお伺いします。
このようなアジャイル開発というシステム開発手法を使ってFAQを導入すれば、コストの削減、現場の事務の削減にもつながると思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

企画
総務局長
答弁:

1.多くの待ち時間が発生することがないように、サービスに要する時間を短縮することは課題であり、市民からの問合せに対応するため、担当者が参照できるFAQ、いわゆる頻繁に尋ねられる質問への対応を整えることは有効であると認識しています。
2.そのため、各区の業務全般、例えば、住民基本台帳事務、税務事務、福祉事務などについて、必要に応じてFAQを制度所管課において作成し、庁内LANの全庁フォルダ等で共有できるよう対応しているところですが、その情報が最新のものになっていない場合や、検索しやすいものとなっていないため、担当者が該当箇所を見つけるのに時間がかかるといった課題があります。
3.そこで、窓口におけるサービス時間の短縮や事務の削減を図るためには、実態に即したFAQを整備し、これを担当者が日常的に参照しやすい状態にしておくことが必要です。今後、FAQのデジタル化の手法も含め、費用対効果等も検証しながら、改善方策を検討したいと考えています。

質問:

(2)-⑤
さて、本市は行政事務効率化の一環としてワンストップサービスを導入していますが、
本市のワンストップサービスの現在の導入状況、また、今後の予定はどうなっていますか?

企画
総務局長
答弁:

1.各種手続のワンストップサービスは、令和3年1月から死亡時に関連する行政手続きを、また、本年9月から、児童手当など出生時に関連する行政手続きを、それぞれ各区役所で運用開始したところです。
2.今後は、マイナンバーカードを利用したオンラインによる転出届を受けて、転入する自治体がその手続の事前準備が可能となるように、システム改修などの準備を進めており、令和5年2月の運用開始を目指しているところです。
3.その他の各種手続のワンストップ化については、行政のデジタル化を推進する国の動きを見据えながら、引き続き検討してまいります。

質問:

(2)-⑥
本市ではマイナンバーカードの取得率が約6割弱となっています。マイナンバーカードを利用すると、住所、氏名、生年月日などを取得できます。
区役所の窓口で記載する申請書は、ほぼこの内容が必要です。
そこで、例えば、窓口に来所された市民から、マイナンバーカードを提示してもらい、さらに4桁の暗証番号を入力してもらうことで、本人確認と住所・氏名・生年月日の利用が出来ます。
そして、市販のソフトウエアを使えば、住所・氏名・生年月日などを、現在の紙の申請書の所定の位置に印刷できます。
結果、市民の方は申請書に住所・氏名・生年月日を記入する必要がなくなり、職員もその内容をチェックする必要が不要となります。
この方法の利点は、現在の個別のシステムに依存しないので、システム構築の費用・時間が節約出来ます。
そこでお伺いします。
マイナンバーカードを利用して窓口において「書かない申請」が簡単に低価格で実現できると思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

企画
総務局長
答弁:

1.本市では、行政手続のオンライン化を推進していますが、このオンライン化が定着するまでの間は、直接窓口に来て手続を行う市民の利便性に配慮する必要があることから、できるだけ円滑に手続を行えるようにすることが重要です。
2.このため、先ほども御答弁した区役所における死亡時及び出生時に関連する行政手続のワンストップ化を行った手続について、住民基本台帳からのデータ等を基に、議員御紹介の「書かない申請」、つまり申請者の氏名等を予め印字した各申請書を交付できるようにしたところです。
3.今後とも、市民の利便性の向上に向けた取組を検討してまいります。

質問:

(2)-⑦
そもそも、窓口に来なくてもインターネットを利用して申請できる方が市民の利便性の向上、職員の負担軽減になります。
早い導入を検討すべきであると考えますが、お伺いします。
マイナポータルを利用し、インターネット経由で申請することが出来る業務について、本市における導入状況はどうなっていますか?また、今後の導入予定はいかがでしょうか?

企画
総務局長
答弁:

1.本市では、市民がマイナポータルから申請できるよう、現在、必要なシステム改修等を進めており、(先ほど御答弁したとおり、)転出届・転入予約の2手続について、令和5年2月からマイナンバーカードを利用して申請できるようになる予定です。
また、総務省の「自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画」において、「特に国民の利便性向上に資する手続」として掲げられた、子育て関係、介護関係等の27手続について、今年度末から申請できるようになる予定です。
2.なお、現時点においても、27手続のうち、妊娠の届出などの7手続については、マイナポータルからリンクをたどって本市の電子申請受付システムで申請できるようになっているところです。
3.さらに、今後は、申請件数の多い手続など市民の利便性が向上する手続について、制度を所管する部署と調整しながら、オンライン化の拡充に取り組むように考えています。

質問:

(2)-⑧
インターネット経由での申請が出来るのであれば、窓口申請の場合、その申請は必ずしも住所地の区の窓口で手続きする必要はないのではないでしょうか?
住所地以外の区の窓口でも申請可能になれば、市民サービスの向上になります。例えば安佐北区に居住している方が、勤務地である中区で申請できれば、仕事を休まなくても昼休憩中に申請できて便利です。
そこでお伺いします。
ネットで申請できるものは、住所地以外の区でも申請が可能になると、住民サービスの改善につながると思いますが、本市の見解は如何でしょうか?

企画
総務局長
答弁:

1.住所が広島市内であれば住民票の写しが、本籍が広島市内であれば戸籍関係証明書が、どこの区役所等でも申請することができます。
2.その他の手続について、住所地以外の区役所等で申請が可能とすることは、特定の区役所等に事務が集中することにより行政サービスの低下を招く恐れもあることから、オンライン申請の普及状況を見ながら、今後、検討したいと考えています。

質問:

(2)-⑨
現在、本市では、マイナンバーカードを取得していない方は、4割強いらっしゃいます。
まだ、取得していない方はどういう方なのか、少し聞いてみました。大きく3つのグループに分けられました。ひとつめのグループは、そもそも取得したくない方、2つ目のグループは、よくわからないので取得していない方、3つ目のグループは、自分で取得の手続きをするのが困難な方、例えば、未成年者や高齢者の方でした。
よくわからない方や、高齢者の方については、町内会・老人会など身近な場所での支援が有効です。
私が所属する町内会で、マイナンバーカードの取得、マイナポイントの申請について、制度の説明、申請手続き等の支援をしたところ、2日間、各2時間でマイナンバーカードの取得4名、マイナポイントの申請8名の支援ができました。
そこでお伺いします。
マイナンバーカードの取得の推進について、現在、本市が行っている取組にはどのようなものがありますか?
また、町内会等で、マイナンバーカードの取得、マイナポイントの申請について、制度の説明、申請手続きなどの支援を行う者へ支援の仕組みを作ることで、例えば地域で独自に取得の支援会開催など、地域の特色を生かした取り組みができて、取得推進に有効だと考えますが、本市の見解をお聞かせください。

市長
答弁:

並川議員からの御質問にお答えします。「市民の利便性に寄与する業務改善について」のうち、「マイナンバーカードの取得の促進」についての御質問がございました。
1.国を挙げて取得促進に取り組んでいるマイナンバーカードは、本市における行政サービスを向上させるための行政手続のオンライン化をはじめ、市民生活のデジタル化を推進する上で、必要となる本人確認のための作業を迅速かつ的確に行えるようにするために、欠かすことのできないものであり、令和4年3月に策定した「広島市デジタル・トランスフォーメーション推進計画」において、マイナンバーカードの普及促進を掲げ、カードの取得率の向上に取り組んでいます。
2.具体的には、多くの集客が見込める商業施設等において、土曜日、日曜日を中心に「申請サポートコーナー」を設置し、申請書の作成を支援するとともに、8区役所及び祇園・高陽の2出張所をはじめ、交通の結節点である紙屋町シャレオに常設の「申請支援窓口」を設置し、市民に対して積極的にカードの取得促進を図っているところです。
3.その結果、本市のマイナンバーカードの交付率は、本年11月末時点で、政令市の中で4番目となる57.8%まで伸びてきているところですが、今後、更に多くの市民の方にカードを取得していただくためには、議員御提案のように、遠くまで出かけることができない高齢者などに対して、身近な場所での支援が有効であると考えています。
4.このため、本市では、カードの申請希望者がいる町内会や高齢者等の支援団体からの申込みに応じて、本市職員が、公民館や高齢者施設などの指定された場所に出向いて、カードの申請手続を支援する「出張申請サポート」を実施しています。
5.また、区役所や出張所等から遠方となる中山間地域においてお住いの市民に対しては、身近な郵便局において、カードの申請手続の支援ができるよう検討しているところであり、引き続きマイナンバーカードの更なる取得の促進に努めてまいります。

2.自治組織である町内会・自治会の支援強化について

次に、自治組織である町内会・自治会の支援強化についてお伺いいたします。
先日、民生委員・児童委員の一斉改選がありました。
現状、たいてい町内会から推薦しています。
公衆衛生推進協議会の推進委員、自主防災推進委員、自主防犯推進委員、各種行事などの動員など、ほかにも町内会が町民を推薦するものが多くあります。
町内会の加入率が下がり、高齢化していく中で、かなり重荷になっています。
本市では、職員が町内会活動に参加しやすくするとしています。町内会の負担を軽くする非常に有効な手段だと思いますが、町内会の方では地域に職員がいるかどうかもわからないので、接触することはできません。
そこでお伺いいたします。

質問:

本市では、町内会への加入率の低下、役員の高齢化が進む中で、各種委員の推薦などの負担軽減について、どのように考えていますか?

市民局長
答弁:

1.令和2年度に本市が実施した広島市町内会・自治会等実態調査によれば、役員が特に負担を感じている項目として、役員会・総会等の資料作成や日程調整、チラシの配付・回覧、行政や公的団体主催の会議出席などが上位に挙げられています。
2.このうち、本市が依頼するチラシの配付・回覧や会議の出席、議員御指摘の各種委員の推薦などについて、まずは、負担軽減に取り組むべきであると考えています。
3.具体的には、チラシの配付・回覧については、各都市の事例を参考に配付基準やそのチェックリストを作成するなど、配付を依頼するチラシの減量に取り組むとともに、配付時期を、例えば、月1回程度にまとめることについても取り組みたいと考えています。
また、各種委員の推薦依頼や会議出席依頼については、依頼の必要性を明確にすることや、会議の出席を町内会・自治会以外の他の団体に依頼できないかなどについて、今後、関係部署と共に検討していきたいと考えています。
4.さらに、このような町内会・自治会役員の負担を軽減する取組を進めるためには、職員の意識改革が不可欠であることから、今後、町内会・自治会の活動の実態や課題、さらには役員の声を踏まえた業務依頼時の注意事項などを作成し、職員に周知したいと考えています。

町内会では、自ら開催する行事や、募金、並びに本市の事業のお知らせなどを回覧板や、掲示板で町民に広報しています。
回覧板は、基本的に町内会の加入者に回覧するもので、未加入者にはその内容は周知できません。よって、町内会に加入していない方への、広報・周知手段として、未加入者でも見ることができる掲示板・HPの充実は重要です。
現在、掲示板については、設置の際に、本市からその経費の一部の助成制度があります。ホームページは本市が運用するコムネットを利用することで、開設・維持の経費がかかりません。
ただ、掲示板は屋外に設置されているので、年数が経過すると腐食し、定期的に改修が必要です。しかし、改修費用については助成制度がありません。また、コムネットは携帯端末に対応していないため、閲覧の際に乱れることがあり、さらに、携帯端末から更新を行うのも難しい状況です。
そこでお伺いいたします。

質問:

町内会未加入者への広報・周知手段として、掲示板については改修費用の助成、コムネットは携帯端末への対応が必要だと思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

市民局長
答弁:

1.町内会・自治会の設置する掲示板に対する費用の助成については、新設及び建替えは費用が高額となることから、その経費の一部を助成しているところですが、修繕については、維持管理の一環であることから、引き続き、各地域において対応していただくものと考えています。
2.また、こむねっとひろしまについては、来年度以降、実施を検討しているシステム改修に合わせて、携帯端末からの閲覧や編集が可能となるようにしていきたいと考えています。

3.子宮頸がん予防について
(1)HPVワクチンの定期接種の通知について

次に、子宮頸がん予防についてお伺いいたします。
子宮頸がんとは子宮の入り口部分にできる「がん」で、2018年には年間約1万1000人の女性が罹患し、2019年では約2,900人もの女性が亡くなっています。
特に若い女性が罹患するがんの中では乳がんに次いで多く、早期に発見できれば完治する可能性の高い病気です。
しかし、症状が進行すると、子宮を摘出するなど、妊娠、出産に影響するだけでなく、幼い子どもを残して亡くなるケースもあることから「マザーキラー」とも呼ばれている怖い病気です。
子宮頸がんの予防には、ワクチンの接種と検診が重要です。
ワクチン接種は、国の定期接種の対象であり、本年4月より定期接種対象者への積極的勧奨が再開されました。
そこでお伺いいたします。

質問:

(1)-①
今年度、本市においては、定期接種対象者への周知は、いつ、どのような形式で行いましたか?

保険医療
担当局長
答弁:

1.本市では、国の勧告に基づき、平成25年6月以降、HPVワクチンの積極的な接種勧奨を差し控えていましたが、今年度から積極的勧奨が再開されたことを受け、対象者に周知を図っています。
2.具体的には、国が定めている標準的な接種時期である中学校1年に加え、今年度に限り、これまでHPVワクチンの個別勧奨を受けていない対象者に確実に周知するため、中学校2年、3年及び高校1年相当の女子のうち、未接種者に対して、定期接種のお知らせと国のリーフレットを本年6月末に個別に送付しました。
3.また、これと併せて、本市のホームページや広報紙、SNSにより広く周知を図りました。

質問:

(1)-②
国は、積極的勧奨を控えていた期間に、ワクチンの接種をすることなく、定期接種対象年齢を経過した方への、無料接種、いわゆるキャッチアップ接種を始めました。
そこでお伺いいたします。
キャッチアップ対象者は、どういった方で、今年度、本市においては、その方への周知は、いつ、どのような形式で行いましたか?

保険医療
担当局長
答弁:

1.積極的勧奨を差し控えている間に定期接種の対象であった、平成9年4月2日から平成18年4月1日までの間に生まれた女子のうち、すでに定期接種を受けた者を除いた約5万人に対して、希望すれば無料で接種を受けられるキャッチアップ接種のお知らせとワクチンに関する最新情報を掲載した国のリーフレットを、本年7月中旬に個別に送付しました。
2.加えて、本市のホームページ、SNSや報道機関を通じた情報提供により広く周知を図りました。

質問:

(1)-③
積極的勧奨を控えていた期間より、ワクチンを接種する方は増えていると思います。
そこでお伺いいたします。
HPVワクチンの接種状況は、今年度の直近ではどうなっていますか?特に、定期接種対象者への周知前である令和元年度との比較を教えてください。

保険医療
担当局長
答弁:

積極的な接種勧奨を差し控えていた時期に当たる令和元年度と、積極的勧奨再開後の今年度について、4月から10月までの接種件数を比較すると、令和元年度の239件に対して、今年度は4,065件と大幅に増加しています。

質問:

(1)-④
これまで、定期接種やキャッチアップで接種できるHPVワクチンは、2価ワクチンと4価ワクチンであり、自己負担で接種できるものとして、9価ワクチンがありました。
9価ワクチンは医療機関によって金額は異なりますが、おおむね10万円必要と聞いています。
ただし、来年度からはこの9価ワクチンも定期接種の対象となると報道されています。この9価ワクチンの情報については、接種を検討するうえで大変重要だと思います。
そこでお伺いいたします。
9価ワクチンの効果、安全性はこれまでのワクチンとどう違いますか?

保険医療
担当局長
答弁:

1. 9価HPVワクチンは、子宮頸がんの発生に関連するヒトパピローマウイルスのうち、現在定期接種で使用されている2価及び4価のワクチンよりも多くの、9種類の遺伝子型を標的としており、子宮頸がん及びその前がん病変の罹患率の減少や、子宮頸がんの死亡率の減少について、高い効果が期待されています。
2. また、安全性については、4個のワクチンと比較し、痛みや腫れ等の接種部位の症状は多いものの、頭痛や発熱等の全身症状は同程度であるとされています。

質問:

(1)-⑤
効果が高く、副反応のリスクも変わらないのであれば、皆さん9価ワクチンを選ばれると思います。 そこでお伺いいたします。
9価ワクチンの定期接種化に対する本市の対応、対象者への周知方法はどのように考えていますか?

保険医療
担当局長
答弁:

1. 9価HPVワクチンが定期接種化される来年度以降、国が定めている標準的な接種時期である中学校1年の女子に対しては、定期接種のお知らせに併せて、ワクチンの有効性・安全性などの情報を掲載したリーフレットを個別送付する予定です。
2. また、中学校2年、3年及び高校1年相当の女子並びにキャッチアップ接種対象者のうち未接種者に対しても、接種再勧奨の通知を個別送付したいと考えています。併せて、本市のホームページやSNS等を活用し、広く周知を図ってまいります。

3.子宮頸がん予防について
(2)子宮頸がん検診の促進について

さて、子宮頸がん検診は、病気の予防・早期発見・早期治療に役立ち、早期治療は完治にもつながります。
若い子育て世代に多い、子宮頸がんの検診については、その世代への広報・周知が大事だと思うのですが、
そこでお伺いいたします。

質問:

(2)-①
現在、子宮頸がん検診の対象者への周知方法はどのように行っていますか?お答えください。

(2)-②
コロナによる外出自粛で、昨年度までがん検診全体の受診率が下がっていると聞いていましたが、
子宮頸がん検診の受診状況は今年度直近までの5年間の推移はどのようになっていますか?特に、若い子育て世代はどうでしょうか?お答えください。

保険医療
担当局長
答弁:

1.本市では、職場等で子宮頸がん検診を受診する機会がない20歳以上の女性を対象に、国の定める基準に従い、子宮頸がん検診を実施しており、検診の対象初年度に当たる20歳の方については、無料クーポン券と受診の手順を分かりやすく記載したパンフレットを送付するとともに、年度の前半に未受診となっている方には受診を強く促す勧奨はがきを送付しています。
2.また、21歳以降の女性に対しては、2年に1回、受診券を個別に送付しており、21歳から39歳の未受診の方には、今年度から、年度内に受診再勧奨の個別通知を行うこととしています。
3.さらに、若い世代に対しては、乳幼児健診で配布する冊子や、SNS、子育て応援アプリ等を通じて、がん検診に関する情報を発信することにより、一層の普及啓発に取り組んでいます。
4.本市が実施する子宮頸がん検診の過去5年間の受診率は、平成29年度が32.5%、平成30年度が31.0%、令和元年度が30.6%、令和2年度が29.3%、令和3年度が33.6%となっており、令和3年度は過去5年間で最も高い受診率となりました。
5.若い子育て世代の直近3年間の受診率は、令和元年度から令和3年度で20歳代が48.3%から64.7%へ増加し、30歳代が51.2%から70.7%へ増加しています。
6.今後も、個別の受診勧奨を行うとともに、乳幼児健診などの機会をとらえた知識の普及や、医療機関や地域団体、民間企業と連携した啓発の取組などにより、子宮頸がん検診の一層の普及啓発に努めてまいります。

4.難聴等による生きづらさを感じる市民の支援について

次に、難聴等による生きづらさを感じる市民の支援についてお尋ねします。
まず、事例を紹介します。
私が相談を受けた方で、職場でのコミュニケーションが上手く取れず、仕事が続かない。そのため、給料も安く生活が苦しいという相談がありました。
話を聞くときに、声が聞こえづらいということで、確かに、普通に会話をすることにはかなり支障があると思いました。
本人の希望は、補聴器があればもっと普通に生きることが出来る。ということでしたが、補聴器の購入には高額のお金がかかるため諦めている。ということでした。
障害者手帳はお持ちですかと確認したところ、手帳を交付されるほどの重度の難聴ではないとのことでした。
そのため、障害者に対する補聴器の購入助成は使えません。
また、生活保護を受給するほどの低所得ではありませんでした。
同じように生きづらさを感じるものとして、発達障害がありますが、発達障害は障害と定義されることで、福祉の場面で支援されるようになってきました。
身体障害者手帳は取得できませんが、通常より困難な方でも、就職が困難、就職しても職場で働くことが難しい、人とコミュニケーションをとることが難しいなどにより、収入が少なく、生きづらさを感じている方がいらっしゃいます。
このような方を支援する必要があると思いますが、お伺いします。

質問:

①このような方の場合、本市ではどのような対応をしていますか?

おそらく、市の支援を受けているとは思いますが、私が相談を受けた方は、十分な支援が受けることが出来ていないと思いました。
身体障害者手帳は取得できないが、聞こえづらいということで、生きづらさを感じるかたもいます、そして、その方への支援の在り方を検討する必要があると思いますが、お伺いします。
②その様な方の実態を把握する必要があると考えますが、本市の見解はいかがでしょうか?

健康福祉
局長
答弁:

1.本市では、障害者手帳の有無に関わらず、障害者の生活上の困りごとや悩みの相談に応じる窓口として、各区の障害者基幹相談支援センターや区役所福祉課等があり、福祉施策の紹介や就労支援機関等へ繋ぐなどの支援を行っているほか、特に聞こえづらさに関しては、本市が広島市中途失聴・難聴者協会に委託して実施している難聴相談において、自身も当事者である相談員が経験に基づき、コミュニケーションの取り方等の助言を行うなどの対応を行っているところです。
2.これらの対応により、不安や悩みの解消に繋がった事例が多くある一方で、家族関係や就労などの問題が重なり、議員御指摘のような生きづらさを感じ、すぐには解決できない事例も見受けられます。
こうした課題を抱えた方々に寄り添った、よりきめ細かい支援を行っていくために、まずは、寄せられた相談内容や対応状況等を包括的に把握し分析するなどして、どのような支援ニーズがあるかを探っていきたいと考えています。

5.文化芸術基本法に基づく文化振興について

次に、文化芸術基本法に基づく文化振興についてお伺いします。
本市では、現在、文化芸術基本法に基づく地方文化基本計画を策定していません。
策定しない理由については、文化政策に対する大きな方針は、広島市基本計画に定めており、状況に応じて施策を講じていくので不要である旨をこれまでも答弁されています。
地方の文化の発信が、地方の活性化につながるのは、他都市の例を見ても明らかです。
例えば、福井県は恐竜の化石が発掘されたことを契機に、恐竜をはじめとした考古学に力をいれ、その結果、恐竜博物館をはじめとした施設に、県内・県外含め、多くの人を呼び込み、経済の活性化にもつながっています。
ベネッセコーポレーションの社長は、「経済は文化のしもべである」といわれているそうですが、文化的な街づくりは、そこに住む住民の幸せにつながり、さらに経済発展にも波及していきます。
市長は先日、鳥の目、虫の目、3つめに、心の目として「平和文化の推進」を掲げると答弁されました。
そこで、お伺いします。

質問:

①本市は、長期的な視点に立って、国際平和文化都市広島をどう建設していくか考え、文化芸術基本法に基づく地方文化基本計画を策定するべきであると思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

市民局長
答弁:

1.本市では、昭和45年に、都市づくりの最高目標となる都市像として「国際平和文化都市」を掲げ、その具現化に取り組むに当たり目指すべき施策の基本的な方向等を定めた「広島市基本構想」及び「広島市基本計画」を策定してきているところであり、基本計画は第6次のものとなっています。
2.文化芸術基本法によって、その策定が努力義務とされている地方文化芸術推進基本計画については、本市では、この基本構想及び基本計画において、「市民や国内外から訪れた人々が多様で上質な文化芸術や歴史・伝統文化に触れ、体感することのできる文化的環境の創出」や「音楽・芸術作品等を活用した平和文化の国内外への発信力強化」など文化施策の基本的な方向性を示していることから、策定するまでもなく、さらに、文化芸術の具体的な施策については、こうした基本構想・基本計画の中で示される長期ビジョンの下で、その時々の社会情勢の変化に敏感かつ的確に対応するため、取組の効果等を常に検証しつつ、真に必要な対策を機動的に展開していくこととしているところです。

質問:

②地方文化の発信方法として、地域の特色を活かした博物館・美術館の整備、音楽・演劇・演芸などの支援などがありますが、本市には、個別の基本計画がないか、あっても長期に実行していない状態です。そこでお伺いいたします。
地域の特色を活かした博物館や、美術館、演劇ホールなど、将来を見越して個別分野毎の基本計画の作成・推進が必要だと思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

市民局長
答弁:

文化施設を含む本市の公共施設については、平成29年に策定した広島市公共施設等総合管理計画において、「市民満足度の高いサービス提供が可能な施設体系の再構築」及び「財政状況に照らして持続可能な施設体系の再構築」を基本に整備を進めていくこととしており、それとの整合性を図りながら、各施設の特性に応じて、「まちづくり」や広島広域都市圏の「圏域づくり」に資するよう個別に整備計画を策定することとしています。
このため、将来にわたる各施設の具体的な整備計画については、こうした諸条件を満たせるように策定作業を進めていく必要があります。

さて、市民の文化的素養を涵養する公共図書館について、現在、本市は中央図書館・こども図書館・映像文化ライブラリーの集約化・移転を計画しています。
本市は、平成15年1月に、現在、石川県立図書館の館長を務めておられる田村俊作氏を委員長とする、21世紀広島市図書館計画検討委員会から、「「まちの図書館化」をめざして」と題した提言をいただいています。その前書きには、「図書館サービスを市民生活のいたるところに行き渡らせ、市民の誰もが、いつでも、どこでも図書館サービスを活用することができる仕組みをつくる」、そして、「本提言が構想倒れとならないよう、行政計画に位置付けた上で、スケジュールを明確にして施策の展開を図られることを要望する」とあります。
そこでお伺いいたします。

質問:

③今現在も、広島市全体の図書館基本計画は策定されていません。今後、区図書館・公民館図書室の整備が必要となります。このため、問題が顕在化している今だからこそ、広島市全体の図書館基本計画の策定が必要だと思いますが、本市の見解はいかがでしょうか?

市民局長
答弁:

1.本市においては、平成23年度に取りまとめた「広島市立図書館サービスのあり方について」(以下「あり方」という。)を、本市における図書館に係る基本計画と位置付けているところです。したがって、今回の議会の付帯決議を受けての中央図書館等に求められる機能等の整理においでは、この「あり方」を踏まえた上で、本年12月1日に広島市立図書館再整備方針を策定したところであり、今後は、必要に応じて個別の施設整備計画を策定することとしています。

質問:

④本市は、こども図書館は現在地での再整備を行うと発表しています。そこでお伺いします、
再整備には予算が必要で、その予算は議会の議決が必要となります。それを前提に尋ねます。正式にこども図書館は現在地での再整備を決定したと言えるのでしょうか?

市民局長
答弁:

1.こども図書館については、この度策定した広島市立図書館再整備方針において、現在地で、その機能・サービス等の整備、充実を図ることとしたものであり、それを実行するためには、必要となる予算について、議会の議決が必要になります。

こども図書館の利用者・関係者は、エールエールA館に、中央図書館・映像文化ライブラリーと共に移転する当初の案に反対でした。それは、児童図書館の歴史があり、緑豊かな中央公園内から、商業施設に移転することによる、こども図書館の役割の低下を懸念していたからです。
そうであるからこそ、こども図書館を中央公園内に中央図書館・映像文化ライブラリーと集約化して整備することには賛成であると聞いています。
現在地での再整備では、先日決定した広島市立図書館再整備方針に基づいた、こども図書館の再整備はおろか、書庫が足りない、蔵書が増やせない、閲覧スペースが少ないなど、現在のこども図書館の問題も解消されないのではないかと不安に思っています。
そこでお伺いいたします。

質問:

⑤本市はこども図書館を現在地で再整備することについて、付帯決議で求めている、利用者・関係者から十分に意見を聞いたでしょうか?

市民局長
答弁:

1.こども図書館については、「議会・利用者・有識者などの関係者から広く図書館の再整備について意見を聞いた上で、中央図書館等に求められる機能等を盛り込んだ、図書館整備方針を作成する」とされている付帯決議を踏まえ、本年7月26日から8月25日まで市民意見募集を行うとともに、こども図書館の中央公園での存続を求めて、議会へ請願を行った市民団体からも意見をお聴きしています。
2.さらに、これらの市民団体等が開催したシンポジウムやワークショップなどに本市職員が参加して、意見をお聴きしたところです。

質問:

⑥先日、広島ゆかりの作家の著作権管理者などから、平和記念公園に近い現在地から、商業施設に移転することにかなり強い懸念をもっているとお聞きました。そこでお伺いいたします、
本市は広島ゆかりの作家の著作権管理者などに、再整備方針を作成するにあたり、付帯決議で求めている、十分な意見の聞き取りを行ってきましたか?

市民局長
答弁:

広島ゆかりの作家の関係者とは、これまで複数回、直接意見をお聴きしていますが、これも付帯決議を踏まえてのものです。

これまでも訴えてきましたが、広島駅周辺には、通勤・通学の途中で来館することが期待される、ビジネスマンや学生をターゲットとした、専門図書館を整備したほうが市民の要望に沿うのではないでしょうか?
広島では、お子様連れの方は車で移動される方が多いですが、エールエールA館では、休日には、周辺の買い物で車の駐車に非常に時間がかかり、カープの試合があるときも同様です。また、昨年8月のアンケートの結果を見てもわかる通り、高齢者の方は近くの図書館に行くことが多く、区図書館・公民館図書室・移動図書館の充実の方が優先度が高いと思います。
こうしたことから、駅前に全世代を対象とした図書館を整備する必要は見当たりません。
さらに、広島市公共施設等総合管理計画では、「現行の枠組みに固執せず、施設の機能・サービスの向上を検討する。」ことが方針として掲げられています。
札幌市では、複合施設にビジネスマンや学生をターゲットとした、専門図書館を整備し、勤務する司書ともしっかり意識を共有して成功しています。
中央図書館は、書庫が必要で、重要図書も保管しています。また、各館への配本施設・移動図書館の基地など特殊な施設が必要です。エールエールA館について、これを実現するための検討が十分行われているのでしょうか?
そこで、お伺いします。

質問:

⑦エールエールA館には、ビジネスマンや学生をターゲットとした、専門図書館を整備し、現在地を含む中央公園付近に新中央図書館を整備する案であれば、市民・利用者・関係者に寄り添った図書館の整備となり、さらに、施設の1年あたりのコストでも建て替えのほうが優位であり、市民のためになると思いますが、本市の見解はいかがですか?

市民局長
答弁:

1.中央図書館の再整備は、そもそも公共施設の更新に該当するものであり、平成29年に策定した「広島市公共施設等総合管理計画」に掲げた方針に沿ったものにする必要があります。すなわち、同計画において、「ハコモノ資産」の更新に掲げる基本方針の中で「一度に多くの利用者が訪れる施設でありながら、公共交通機関の利用が困難な場所に設置されている場合などは、施設を更新する際に交通結節点の付近へ移転するなど、多くの利用者の利便性を高める方策を検討します。」とされていることや「民間施設を含め、様々なサービスを提供する複数の施設を1つの建物に複合・集約化することにより、集客力の向上、地域の拠点性強化、利用者の利便性の向上等を図ることを検討します。」とされていることから、中央図書館を複数整備することは、この更新の方針に沿わないものと考えます。
2.なお、本市は付帯決議に基づいて検討している点からしても、中央図書館を複数整備することは、採用し難いものと考えます。

6.法定外公共物(里道・水路)の管理について

次に、法定外公共物の管理についてお尋ねします。
平成12年4月1日より、地方分権一括法に基づいて、法定外公共物いわゆる里道・水路は、市町村に譲与され、管理することとなりました。
ちなみに、里道とは、赤道(あかみち)と言って、通常3尺90センチメートルほどの公の道のことです。
現在、土地を売却する場合の売買契約書には、売主が境界を確定することが明記されていることが一般です。そのため、測量を行い、筆界を確定する必要があります。
また、土地を相続した場合に、相続人間で1つの土地を分割し、それぞれ取得する場合にも、測量して筆界を確定しなければなりません。
いわゆる世間一般でいうところの境界と、筆界とは厳密には異なりますが、今回は説明を省略します。
さて、筆界を確定するには、その土地の隣接地の所有者・管理者に筆界確認の立ち合いを求める必要があります。
ちなみに土地の筆界は、公に決まった線であり、当事者が合意で変更できないことから、筆界の確定は正式には「筆界確認」と言っています。
隣接地に官有の土地がある場合には、その管理者に立ち合いを求めることになり、それは法定外公共物も同様です。
現在、本市の管理する法定外公共物の立ち合いについては、申請者の隣接地が共有の場合、原則、全員の筆界確認書を添付しなければ、本市は境界線証明書を発行しませんが、隣接地の共有者全員からの筆界確認書がなくても、「三者間の境界を証明するものではない」との文言を付記して、境界線証明書を発行する取り扱いをしており、いちおう筆界確認は可能となっています。
申請地の隣接地に相続が発生している場合、申請人が相続人を調査して、立ち合いを求めています。全員から筆界確認書を取得できない場合は、共有の場合と同様です。
法定外公共物の対向地、対向地とは、申請地とは直接接していない、里道・水路を挟んだ反対側の土地のことです、これが、共有の場合や、相続が発生している場合が問題です。
この場合、共有者または相続人全員からの筆界確認書を添付できなければ、法定外公共物の境界線証明書を発行してもらえない取り扱いです。つまり、土地の取引ができないことになりますし、土地の分割もできません。
そこで、お伺いします。

質問:

①なぜ、対向地については、隣接地より境界線証明書の発行について困難となる取り扱いなのでしょうか?

道路
交通局長
答弁:

1.本市が管理する里道・水路等の法定外公共物は、住民生活に密着した公共の財産であり、管理幅を確保し、安定的な利用を図る必要があります。
2.本市では、里道等との境界確認申請があった場合、対向地についても、原則として、所有者全員が同意している境界確認書の提出を求めています。
これは申請地の境界確認に合わせて対向地の境界も確認することで管理幅を確保し、将来の紛争を防止することを目的としているためです。

現在、自分の所有地と接していない対向地について、対向地の所有者が登記簿上の住所に住んでいない場合における所在の調査、相続が発生している時の相続人の調査は申請人がしなければなりません。
直接、自分の所有地と接していない対向地と、法定外公共物との筆界確認は申請地の所有者には不要です。つまり現状は土地の所有者に必要以上の負担をかけている状況です。
本市には、不動産の固定資産税を負担している方の情報がありますが、個人情報として申請者には教えてくれません。よって、対向地の所有者が行方不明の場合は、法定外公共物の筆界確認ができず、売却もできない、相続人間で土地を分けることもできないなど、ここでも大きな不便が生じています。
土地の筆界の特定は法的には管理行為であることから、売買などの処分行為とは異なり、法定外公共物の対向地の立ち合いに共有者・相続人の全員が行うことは必要ないはずです。
そこで、お伺いします。

質問:

②現在の、法定外公共物の対向地について、共有者または相続人全員の筆界確認書を添付しなければ、境界線証明書を発行しない取り扱いは、市民サービスの改善・不動産の流動性の改善のために、変更が必要だと考えますが、検討はされていますか?

③また、隣接地・対向地の所有者が行方不明の場合は、法定外公共物の管理者である本市が、所有者や相続人を調査し、立ち合いを求める取り扱いにすべきであると考えますが、本市の見解はいかがでしょうか?

道路
交通局長
答弁:

1.本市では対向地所有者も関係者の1人と考えており、境界確認申請者において全ての対向地所有者の立会いや確認に関する調整をお願いしています。
2.こうした中で、対向地が無縁墓地などで所有者が不明であったり、所有者が海外に出国している場合は、所有者全員の確認書の提出を求めることができません。こうしたケースでは、やむを得ない事情を記載した上申書の提出により、確認を省略する取扱いを定めていますが、所有者全員が不明の場合などは不可としています。
3.議員ご指摘のとおり、申請者の負担軽減や不動産の流動性の改善を図る観点から、今後は、この取扱いの緩和について、土地家屋調査士会の意見や他都市の取扱状況なども踏まえて検討してまいります。

7.成年後見制度の更なる利用促進について

最後に、成年後見制度の更なる利用促進についてお尋ねします。
成年後見制度の利用促進について、本市は、昨年10月に、広島市成年後見利用促進センターを開設し、また、保健、医療、福祉、司法の関係者が連携し、地域課題の検討・調整・解決に向け継続的に協議をする場である、「地域連携ネットワーク推進会議」を設置し、今後の制度利用について協議をしているところです。
さらに、制度利用の促進に不可欠な要素である、市民後見人の養成も進んでおり、現在の市民後見人バンク登録者は33名と聞いています。
ただ、新型コロナ感染症の影響もあり、市民後見人として裁判所から選任された方は現在まで2名だけです。
この2名の方はそれぞれ広島市社会福祉協議会と共同で受任している複数後見人という形態です。この形態だと、広島市社会福祉協議会の職員の人数の制約で、多くの市民後見人が選任されるのは困難だと思います。
今後、成年後見制度の利用を必要とする人のために、市民後見人を一層活用できる体制を整える必要があり、市民後見人が単独で後見人等を受任できるようにしなければなりません。
そのためには、体制整備に向けた現在の問題点の洗い出し、対策の作成、関係者との調整が必要です。
そこで、お伺いします。

質問:

①市民後見人の単独での後見人等の受任に向けた体制整備の検討、関係者との連携、今後の計画はどのように進めていますか?

健康
福祉局長
答弁:

1.本市では、現在、家庭裁判所から選任された2名の市民後見人が、市社会福祉協議会との複数後見という形で後見業務を受任しているところですが、その単独受任に向けて家庭裁判所等と協議する中で、「弁護士等の専門職が、市民後見人の活動を継続的にサポートする体制を整え、困難な事案にも適切に対処できるようにする必要がある」旨の意見をいただいております。このため、現在、これを踏まえて市社会福祉協議会の人員の拡充も検討しつつ、市民後見人向けの相談窓口を新たに設置することについて専門職団体等と協議を進めているところです。

現在、法テラスでは、認知症の方などのために、本人の支援を行うケース検討会議に、法律家として弁護士を無料で派遣する事業を行っており、多く利用されていると伺いました。
ただし、令和6年度からこの事業は廃止です。市町村が設置する中核機関の役割にケース検討会議への専門職の派遣が含まれているからです。本市は、広島市成年後見利用促進センターの事業の中で、地域包括などケース検討会議への専門職の派遣ができるようになっています。しかし、今年の9月末までに、この事業を利用した件数は0件です。
このままでは、とても法テラスが廃止する事業の役目を引き継ぐことはできません。十分なケース検討会議が実施できない虞が出てきます。そこでお伺いします、

質問:

②ケース検討会議への専門職派遣が、きちんと活用されるよう改善すべきだと考えますが、本市の見解はどうでしょうか?

健康
福祉局長
答弁:

1.ケース検討会議への専門職派遣につきましては、本市のアドバイザー派遣制度に先行して実施されている法テラスによる弁護士派遣制度が利用されている現状がございますが、その終了も見据え、今後、実施機関である「広島市成年後見利用促進センター」が、地域包括支援センターなど認知症高齢者等の支援者が集まる場で活用事例等を盛り込んだチラシを直接配付し、積極的な活用を働きかけていくとともに、より使いやすい制度となるよう専門職団体等と協議を進めていきたいと考えております。

本市では、生活保護受給者、収入がそれに準じる者については、成年後見などの裁判所への申し立ての費用、後見人などの報酬を助成する「成年後見制度利用支援事業」を実施しています。
今後、資産が少ない、収入も少ない方の成年後見制度の利用が増えることが見込まれます。本市では、生活保護受給者等以外の方や、後見監督人等については報酬助成の対象とはなっていません。また、本人に複数の後見人などが就任している場合を考慮した制度とはなっていません。そこでお伺いします、

質問:

③成年後見制度の利用促進のために、報酬助成の対象を拡大することや、助成額の算定方法の変更の検討が必要だと思いますが、本市はどのように考えていますか?お答えください。

健康
福祉局長
答弁:

1.本事業につきましては、令和4年3月に策定された国の「第二期成年後見制度利用促進基本計画」におきまして、資力の乏しい被後見人等に対する報酬助成の対象範囲の見直しや、適正な報酬算定のあり方等について検討を要するとされたところであり、今後国から示される留意事項の内容を踏まえ、地域連携ネットワーク推進会議における専門職等の御意見もお聴きしながら、対象者の拡大等について検討していきたいと考えております。

成年後見制度を利用すると、銀行などの金融機関への届け出、年金機構など行政庁への届け出、介護施設など事業者への届け出、そして、市税・国民健康保険・介護保険・生活保護・福祉サービスなど多くの届け出が必要となります。
民間、他行政機関は本市が対応できるところではないですが、本市への届出で、例えば、安佐北区の方が成年後見制度を利用する場合、区役所で国保などの手続き、総合福祉センターで介護保険などの手続き、安佐南区役所内にある北部市税事務所で市税などの手続き、と距離の離れた3か所に行く必要があり、1日仕事になります。
ワンストップサービスのシステムを一から作成することは、時間も費用も掛かりますが、例えば、本人の氏名・住所・生年月日・後見の種別、後見人などの氏名・住所・連絡先を記入し、変更する手続きをチェックリストで選択してもらい、受け付けた部署が関係各課にメールして手続きをしてもらうなどの方法であれば、庁内の調整だけで実施できるのではないかと思います。実際、尾道市はこの方式をとっています。
そこでお伺いします、

質問:

④成年後見制度の利用促進のために、ワンストップサービスの導入を早急に進める必要があると考えますが、本市の見解はいかがでしょうか?

健康
福祉局長
答弁:

1.成年後見人等が被後見人本人に代わって、国民健康保険や市税といった本市からの郵便物の送付先住所を変更することは多く、区役所の窓口でこうした諸手続の簡素化を図ることはその負担軽減につながるものと考えており、導入に向けて関係課と検討を進めてまいります。

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