活動レポート
2020年2月

2020.02.06

広島市基本構想・基本計画特別委員会 質問の報告

  2月6日、広島市のこれからの約10年の基本構想・計画を検討する 「広島市基本構想・基本計画特別委員会」が開催され、会派を代表して質問しました。
 今回取り上げました質問項目は、以下の6項目です。

「第6次広島市基本計画素案の文化の振興について」

「音楽・芸術作品等を活用した平和文化の普及・振興について」

「地域コミュニティの活性化について」

「消費者施策の推進について」

「ICTを利用した持続可能な交通体系の構築について」

「権利擁護の推進について」

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「第6次広島市基本計画素案の文化の振興について」

質問:

 第6次広島市基本計画素案の文化の振興についてお伺いいたします。
 広島市は今後、文化の振興について取り組むべき課題と方針を掲げています。昨年8月23日の特別委員会で、田中委員からの質問で言及しました文化芸術基本法ですが、市民意見募集の結果、市民意見の中にも、同じように文化芸術の振興計画や基本構想・基本計画において、改正された文化芸術基本法に示された基本理念に沿うことを具体的に言及してほしいとありました。理事者からの回答欄には、文化芸術基本法の改正の趣旨を踏まえ、基本計画素案に様々な取り組むべき方向性として掲げているので、御意見の趣旨を含んでいるとありました。
 文化芸術基本法第4条には、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」とあり、さらに同法第7条の2には、地方公共団体は、文化芸術推進基本計画を参酌して、その地方の実情に即した文化芸術の推進に関する計画、地方文化芸術推進基本計画を定めるよう努める努力義務が示されています。それを受けて全国政令指定都市では、条例又は計画を策定している自治体が9つもあります。広島市も、文化芸術基本法の改正の趣旨を踏まえというのであれば、「文化芸術基本法を踏まえた」との文言を入れ、文化芸術立国における国際平和文化都市として、その方向性を示してもよいのではないでしょうか。見解をお聞かせください。

答弁:

(松嶋文化振興課長)
 平成29年6月に改正されました文化芸術基本法の趣旨ですけれども、文化芸術の振興にとどまらず、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育などの施策も取り込み、文化芸術により生み出される様々な価値を文化芸術の継承、発展、創造に活用しようというものです。
 本市としましても、そうした文化芸術基本法の趣旨を踏まえ、基本構想・基本計画素案の中で取り組むべき方向性といたしまして、市民や国内外から訪れた人々が多様で上質な文化芸術や歴史、伝統文化に触れ、体感することのできる文化的環境の創出や音楽・芸術作品等を活用した平和文化の国内外への発信力強化、さらには文化芸術活動の活性化や文化遺産の活用などを通した広島広域都市圏全体の活力創出などを掲げているところです。
 委員御指摘の文言に対する追加記載につきましては、ほかの記載内容とのバランスも踏まえつつ、審議会の意見も伺いながら、どのような対応ができるか検討いたします。

質問:

 続いて、音楽・芸術作品等を活用した平和文化の普及・振興についてお聞きします。
 ここには、国境や言語を越えた表現手法である音楽や映画、アニメーションなどのメディア芸術などを活用した平和を発信する取組の推進とあります。私は、是非その部分に、新たな日本の文化における表現手段として世界的に広く認知されている漫画を入れるべきと思っております。
 広島市では、国内で初めて漫画に特化した公共図書館としてまんが図書館を開館、保有し、先駆的な取組を行っています。そういった中、世界では一昨年、手塚治虫の「鉄腕アトム」の原画がフランスにおいて3,500万円で落札されました。また、昨年5月23日から8月26日の期間に、あのイギリスの大英博物館で大規模な漫画展が開催され、それまでの大英博物館での展覧会の入場者数を記録を塗り替え、18万人が入場したとのことです。さらに、その2割が16歳以下であったと報道されていました。
 広島には、広島出身の漫画家、また広島にゆかりのある漫画家、さらに広島を舞台に描かれた漫画など、広島と縁を有する漫画の財産が数多くあります。中には、累計発行部数が1億2,000万部を超えている漫画もあります。また、娯楽的な漫画だけではなく、中沢啓治氏の「はだしのゲン」やこうの史代氏の「この世界の片隅に」など、世界的に平和を発信する漫画が数多くあり、平和を発信する取組の推進に多大な寄与をしています。
 そこでお伺いいたします。表現手法である音楽や映画、アニメーションなどの部分に是非漫画を入れるべきではないかと思いますけれど、広島市の見解をお聞かせください。

答弁:

(吉川アニメーションフェスティバル担当課長)
 本市はこれまで、広島国際アニメーションフェスティバルを30年以上にわたって実施し、本市の文化振興と平和発信に取り組んできましたが、漫画については、これまでも本フェスティバルの関連イベントとして、まんが図書館コーナーの設置や著名な漫画家を講師とする市民公開講座などを実施してきたところです。
 こうしたことから、基本計画においても、引き続き漫画を活用した平和を発信する取組を推進していくこととしており、アニメーション等の「等」に漫画も含んだものとして記述したところですが、委員御指摘の漫画を明記することについては、今後、審議会の意見を聞きながら検討したいと考えております。

質問:

 次に、地域コミュニティの活性化についてお伺いいたします。
 いろんな様々なところで指摘されているとおり、各地域では、町内会などの担い手の不足、加入率の減少、拠点の不足などにより、広島市の地域を支える土台である地域コミュニティが揺らいでいます。
 今回、第6次広島市基本計画素案にありますが、基本方針の地域コミュニティの活性化の項目に「ICTを活用した情報の受発信の支援」を追加されています。全ての方ではありませんけれども、スマートフォンを利用するのはとてもじゃないけど無理という高齢者の方もいらっしゃいます。このICTを活用した情報の受発信の実効性を高めるためにも、この支援はこういった高齢者の方などのICT弱者に配慮した支援である必要があると思いますが、本市の見解をお聞かせください。

答弁:

(中谷コミュニティ再生課長)
 地域コミュニティの活性化を図る上で、住民の地域活動への参加意欲を高めるような内容を的確に発信することは大変重要であり、その手段の一つとして、町内会などの地域団体がインターネットやSNSなどのICTを活用し、地域の情報発信を行えるように支援することは必要であると市として考えております。
 一方で、ICTは、これまで受けてきた学校教育の内容、又は職種による経験の違いなどにより操作の習熟度が異なるため、使いこなせる者と使いこなせない者の間に格差が存在しております。本市としては、このような情報格差の解消のため、例えば市職員による地域ポータルサイト「こむねっとひろしま」の操作支援や地域団体向けのSNS活用講座を企画するなどの取組を行っております。
 今後も、地域団体によるICTの活用を推進するため、効果的な支援策の検討を進めるとともに、できるところから実施していきたいと考えております。
 なお、紙媒体でしか情報を得られない住民に対しても、地域団体向けの「広報紙・チラシづくり講座」を開催するなど、紙媒体による情報発信力の強化も併せて支援してまいりたいと考えております。

質問:

 さて、地域の活性化といっても、地域で暮らす市民の方の生活自体を支えていく必要があります。しかし、少子化、高齢化は急速に進んでおり、働き手の減少、郊外の人口減少などで郊外ではスーパーなどが撤退し、都市部でも近所の商店の閉店など、買い物をするのが困難な方、いわゆる買い物難民の方が増えております。買い物は地味ですけれども、日々の生活を支える重要なものです。行政として買い物難民の対策も行っていく必要があると思いますが、この基本計画素案の中には見当たりません。
 そこでお聞きします。地域コミュニティの活性化にはこれらの施策も含まれるのでしょうか、お答えください。

答弁:

(中谷コミュニティ再生課長)
 買い物難民の対策については、買い物サービスの利用形態が店舗販売や宅配、移動販売、さらには買い物代行など様々であり、また、近隣に買い物をできる場所を設ける以外にも、買い物に出掛けるための交通手段を確保するなどの方法も考えられることから、その解決の選択肢は多様であると考えます。
 このため、この課題の解決を図るには、まずは地域住民が集まり、自分たちの地域にふさわしい買い物サービスは何か、それを確保するためにはどんなことをすれば良いのか主体的に話し合うことが必要となり、そのような話合いの場として、住民の活発な意見交換ができる地域コミュニティの存在は不可欠であると考えます。
 このように、買い物難民の問題は、地域コミュニティがそれぞれの地域に置かれた実情を背景に主体性を持って検討すべき生活課題の一つであると考えており、本市としては、このような課題解決に取り組む地域コミュニティを支援することにより、その活性化が図られ、ひいては住民が住み慣れた地域で安心して暮らしていくための環境づくりに資するものであると考えております。

質問:

 次に、消費者施策の推進についてお伺いいたします。
 昨年8月23日の特別委員会での質問を取り入れていただいて、SDGsの17の目標とこの関連性を検討いただき、ありがとうございます。また、倫理的消費、エシカル消費の項目も基本計画素案に入れていただき、ありがとうございます。
 ただ、申し訳ないんですが、基本計画素案の各施策とSDGsの達成すべき17の目標との関連については、更に精査をする必要があると思っております。
 その一例として、消費者施策の推進の達成すべきSDGsについてお話ししますが、いわゆる倫理的消費、エシカル消費は、主要な目的、柱としては、目標12番の「つくる責任、使う責任 」があります。それは、14番目にある「海の豊かさを守ろう」、15番の「陸の豊かさも守ろう」を実現するためでもあります。さらに、エシカル消費の一つであるフェアトレードは、目標1番の「貧困をなくそう」に直接つながっています。よって、消費者施策の推進について達成すべきSDGsについては、1番、14番、15番を私は追加すべきと思っております。
 このように、SDGsの17の目標との関連を、今一度各施策について精査する必要があると思いますが、広島市の見解をお聞かせください。

答弁:

(藤岡総合計画担当課長)
 先ほど碓氷委員の際にも御答弁いたしましたが、この度の御指摘を踏まえまして、引き続き精査を深めてまいります。

質問:

  次に、ICTを利用した持続可能な交通体系の構築のところについてお伺いいたします。
 広島市では、少子化、高齢化は急速に進んでおり、自動車免許の返上、働き手の減少、郊外の人口減少など、このままでは、都市部、郊外など住んでいる場所にかかわらず、今後、公共交通へのアクセスが困難になる方が増えていく状況が進んでいくことは間違いないと思われます。
 また、広島市においては、公共交通は官ではなく、民間が大部分を担っているなど、ほかの大都市に比較して状況が異なっていることもあり、今後の計画に対して広島市の役割も難しいと思っております。
 さて、ICTとは、情報や通信に関連する科学技術のことをいいますけれども、交通分野では、例えば個々の自動車のナビゲーションシステムからのデータを蓄積し、それをビッグデータとして分析し、渋滞を予測するシステムなど、一部利用が始まっています。また、自動車の自動運転技術などでは既に実証実験も始まっているところもあり、急速に技術が進展しております。
 基本計画素案に「ICTを利活用した持続可能な交通体系の構築」とありますけれども、この項目にはいわゆる自動車の自動運転も含まれているんでしょうか、お答えください。

答弁:

(高野道路交通企画課長)
 ICTを利活用した持続可能な交通体系の構築につきましては、委員から御紹介いただきました自動運転を始め、AI、IoTなどの新技術の活用や、スマートフォンアプリを活用しまして複数の移動サービスの経路検索、予約、決済等を一括で行うことを可能にしますMaaSといった新たなモビリティサービスの導入に向けた取組についても含まれております。

質問:

 海外では、自動車の自動運転とか、グーグルを始めとしてかなり開発が進んでいるようです。自動車以外にも、鉄道とかバスなどの公共交通、また車椅子などの個人の移動を助ける手段、またドローンなどによる空中輸送など、自動運転の技術が活用される場面は多いんじゃないかと思っています。さらに、これらの技術を活用すれば、交通弱者への支援、働き手の不足の対応など、多くの課題の解決にもつながります。
 そこでお聞きしたいのですが、自動運転などの活用状況はどのようになっているんでしょうか。

答弁:

(高野道路交通企画課長)
 自動運転につきましては、2020年をめどとした政府目標としまして、高速道路において緊急時には手動運転に切替え可能なレベル3の実用化を、また交通量が少ない過疎地等において完全自動運転を行うレベル4の実現を目指しています。
 また、令和2年春の改正道路運送車両法の施行に向けた自動運転の安全基準等に係る政省令の策定や、全国各地における道の駅等を拠点とした自動運転サービスなどの実証実験等の取組が進められています。

質問:

   今、答弁いただきましたけれども、広島市としては今後、ほかの市町村の動向を見極めてからではなくて、新技術の利活用について積極的に進めていくべきだと思います。それが広島市のものづくり産業の競争力強化にも資するんじゃないかと思います。
 市民に対して広島市の姿勢を示す基本計画の素案にも、自動運転など新技術の利活用について、もう少し積極性を感じられる表現を記載することはできないでしょうか。広島市の見解をお聞かせください。

答弁:

(高野道路交通企画課長)
 本市としましても、こうした新技術の活用などにつきましては、積極的に取り組むこととしております。これらの実証実験等は、全国各地で展開されており、昨年11月には、広島大学が実施しました路面電車の軌道敷内で自動運転バスを走行させる実証実験に参加したり、島根県大田市で実施されているAIを活用した配車予約システムを備えた定額夕クシーの実証実験について、実施主体の事業者をお招きしまして実施内容について意見交換を行うなど、新技術を利活用した交通サービスに係る情報収集等を精力的に行っております。
 このため、委員から御意見のありました積極性が感じられる表現につきましては、記載内容の見直しを審議会の意見も聞きながら検討したいと考えております。

質問:

 最後に、権利擁護の推進についてお伺いいたします。
 第6次広島市基本計画素案にありますように、昨年8月23日の特別委員会での川村委員からの質問を取り入れて、新たに権利擁護の推進の項目を設けていただき、今後の広島市の権利擁護に関する取組が明確に示されています。ありがとうございます。
 ところで、確認いたしますけど、今回追加した権利擁護の推進の項目は、第5章保健・医療・福祉、子どもの育成環境の充実を目指したまちづくりの中の第1節地域共生社会の実現に設けられております。全体の構成から考えて、高齢者及び障害者の方は対象となっているようだと推察されるのですが、子どもについては未来を担う子どもの育成と教育のところで、特別委員会での意見を踏まえて「子ども一人一人の権利を尊重しつつ」を追加していることから、子どもは対象となっていないように思われます。
 そこで確認します。基本計画素案に新たに加えられた基本方針、権利擁護の推進については、子どもの権利擁護も含まれているのでしょうか、お答えください。

答弁:

(鈴木こども未来調整課長)
 委員御指摘のとおり、子どもの権利につきましては、全ての子どもが健やかに育つための環境づくりの現状と課題の中に「子ども一人一人の権利を尊重しつつ」という文言を、この度追加しておりまして、その中に子どもの権利擁護の意味合いも含んでいるものでございます。
 なお、基本計画素案に追加されました権利擁護の推進につきましては、委員御推察のとおり、主として高齢者や障害者の権利擁護といたしまして、成年後見制度の更なる普及について記述しているものと理解しております。

質問:

 そうすると、新たに加えられた基本方針、権利の擁護の推進については、子どもの権利擁護は含まれないということになっています。
 さて、ここで確認しますけれども、権利擁護とは、市民一人一人に根源的に認められる基本的人権を尊重し、本人の意思決定を最大限尊重しながら権利を守ることだと理解しています。権利擁護が必要な方は、高齢者、障害のある方に限らず、子ども、また場合によっては健常者の方も含まれます。更に付言すれば、一個の人格を持った市民の方に対して行う権利擁護の取組は、一人一人に対して、子ども、勤労世代、高齢者と区分されて行うものであってはならないと思っております。つまり、権利擁護の取組は、一人一人の個性に応じて切れ目のない形で一貫して行うことが理想であり、また行政に求められるものです。そうすると、「文化が息づき、豊かな人間性を育むまち」を法的側面から支援できるのです。
 先ほども言いましたが、基本計画素案では、基本方針、権利擁護の推進に子どもの権利擁護は含まれていません。子どもの権利擁護の推進が明確になっていません。
 そこで、子どもに対しては、虐待などで親の親権を喪失させた場合な どの未成年後見制度、また様々な理由で戸籍がない無戸籍者への支援を含め、子どもの権利擁護を推進していく旨を第5章第3節第1項の全ての子どもが健やかに育つための環境づくりに明示すべきではないかと考えますが、本市の見解をお聞かせください。

答弁:

(鈴木こども未来調整課長)
 子ども・子育て支援の推進に当たっては、児童虐待防止対策や社会的養育など、子どもの権利擁護という観点を持って取り組んでいくことが重要であると認識をしております。
 こうした中で、昨年8月23日の本特別委員会においていただいた子どもの権利に関する記載がないという御意見を踏まえ、今回の基本計画素案では「子ども一人一人の権利を尊重しつつ」という文言を、先ほど申し上げましたけれども、そういった文言を追加したものでございます。
 御指摘の子どもの権利擁護を推進していく旨の明示につきましては、今後どのような対応ができるか検討をさせていただきたいと考えております。

 是非よろしくお願いします。
 以上で質問は終わります。ありがとうございました。

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